何を言わずとも、直ぐに読まれてしまう。 俺が単純なのか、それとも彼が聡いのか果たしてどちら。 「越前、ハイ」 咽喉が渇いたなぁなんて思うと、すかさずファンタが手渡されて 『今、暇?何となく、メールしたくなったんだけれど』 一寸寂しいかもなんて思った夜には、必ずメールが手元に届く。 「キス、していい?」 抱きしめて欲しいと思う瞬間には、口付けが降ってきて 「君が、好きだよ」 囁いて欲しい言葉は全て色鮮やかに零れおちる。 「センパイ」 光の具合によっては、金に近い茶髪は降り注ぐ日差しに反射して 綺羅綺羅と眸に光を射ていっそ眩しい。その、存在が。 「なあに?」 男のくせしてやたらに綺麗な顔と、少女みたいな 柔らかな微笑みに騙されてしまうと本質を見失う。 近づいた顔に対して脳内で鳴り響くのは紛れも無く警鐘だ。 動脈に程近い手首の血管に、まるで姫君に忠誠を誓うナイト のように、恭しく唇を寄せられた瞬間劣情が誘い出される。 「言わなきゃ、分からないよ。越前」 嘘だ。嘘、嘘つき。 今この瞬間だって、きっと俺の思考なんか全て容易く 見破っているくせに。俺の考えなんて手に取るように全て アンタの手中に収まっているくせに。 「―――――っ、知らない・・・っ!!」 囁くみたいに、耳朶に忍び寄る舌先に痺れる。 持っていた荷物が派手な音を立てて転がり落ちても、 この人の前になす術なんて無い。 「嘘つき」 俺の言いたい台詞を奪って、鮮やかに笑う目は何時も悪戯だ。 ズルイ、と思った時点で負けを自覚するようで何だかムカつく。 何だって、分かっているくせに。 知っているくせに。気付いているくせに。 「言わないもん」 「そう、でも僕は言わせたい」 「・・・・知ってるくせに」 ズルイ、呟いた声にセンパイはこれ以上ないくらい綺麗な、 艶やかな笑みを唇に浮かべて花のように笑った。 「越前、キスしたい?」 「―――――」 「したくない?止めようか?」 誘導尋問、首を振る俺を見てまた笑ってじゃあしよう、 と唇が重なる。 直ぐにまた距離を置いて、目線だけ合わせて 「舌、入れていい?」 ぎょっとする生々しさが無いのは、この人が言うから だろうか。ダイレクトな台詞に惑わされているせいなのか。 それとも。 また頷くと重ねられる唇は歯列を割って、 かき乱す如く捉えられる。 凡そこんな昼間にする行為じゃない。猥らさに眩暈した。 壁に押し当てられた背中だけが、現実感を帯びる。 力の抜けた身体では、覚束無い足元に其処に床があるのかさえ 果たして真実なのか分からない。 若しかしたら本当は何処か誰も居ない空間で、 センパイと二人きり存在しているだけなのかもしれない。 閉じた瞼に、幾つもの星が弾け飛ぶ。 あがる息を整えると、センパイの端正な指先が舌の変わりに 咥内に突き入れられて、思わず眉を顰めると唾液で湿ったそれに 構うことなく彼は微笑み、 「触れて良い?」 抗えない。 なす術も無い。 逃げることも出来ない。逃げる理由も無い。 逃げられるなんて思わない。 「ズルイ」 知っているくせに。 分かっているくせに。 何もかもお見通しのくせに、追い詰められる。 望むこと全て与えられて、考えなんて全て読まれて 触れられる身体には電流、侵される口腔には甘い蜜、嗚呼。 綺羅綺羅と反射する金糸、近くで見ると殊更透けるような 透明さを湛える眸、どんな美辞麗句で以っても事足りない 綺麗な人。綺麗な、先輩。 ぐらぐら高沸しそうな頭で、くらくら眩暈のする足元は 歪む。抱き寄せられた身体に、頼れるものは彼だけだと知る。 センパイは。 知っているんだ、何もかもを。俺の感情も、彼に向かう劣情も。 お見通しなんだ、全て。怖いくらいに、自然と。 夢見がちなことを疑ってみる余地すらない。 仮令彼がエスパーでも、宇宙人でも、ただの人でも、サトリでも 俺はきっと容易いくらい呆気無く恋に落ちる。 センパイを好きになっている。 「正体見せてよ」 深まる愛撫に任せて問えば、 「何のこと?」 三日月の眼差しでそう返された。 不二センパイが黒くて王子様だったら素敵かなーと書いてみました。 BGMはUFOです。是非(笑)あれ、イイよ。 見ようによれば、すごい王子の惚気ですね。 |
| SEO | [PR] 花 冷え対策 再就職支援 わけあり商品 | 無料レンタルサーバー ブログ SEO | |