息を切らして走る。 吐く息は、未だ冷たい空気に震えて白く濁った。 乾燥した冬の空に、景色が滲む。寒さの所為だと自嘲すれば良い。 下らない口論だ。 正しく子どもの喧嘩だ。 どちらかが折れればそれで済む些細な出来事で、だけれども 何度繰り返しても結局自分たちはこういう道しか選べないと リョーマは決して長く生きているわけではない頭で、だけど 確信めいた予感を覚えた。 周りから、よく似ていると言われる。 それは勿論外見のことでなくて、性質としての二人が近しい何かを 持っているということなのだろうと思う。 それは、とても魅力的でそして危険だ。 二人は強く惹かれあうか、或いは反発しあうか二つに一つしか 選べない。道が無い。 (―――――嗚呼) ただの気の合う友人に戻ることすら適わない。 強く惹かれあうか、或いは反発しあうか二つに一つだ。 それでも、それでも、とリョーマは唇をかみ締めた。 俺にだって、譲れないものがある。 アンタに、譲れないものがあるように。 飛び出した時、止めもしなかった。 好きにしろよ、と常の調子で彼は言うのだ。 アンタにとって、俺は一体何だというのだろう。 (畜生) ポケットに悴んだ手を入れて探ると、硬貨が数枚出てきた。 道路沿いの自販機を見つけて、目当てのジュースを探すが 見つからない。こんなときは何もかもが上手くいかない。 分かっている。 何か温かいものを、と覘くが頼みの綱の紅茶は売り切れだ。 飲めもしない珈琲を選んでボタンを押すのが、何だか滑稽だった。 ミルクを多分に含んでいるはずなのに、それでも打ち消せない 苦味が温く口に広がる。誰かを思い出して、ひどく落ち込んだ。 短気だという自覚はあるが、お互い様だ。 俺たちが似ていると周りは言うけれど、当たり前だが別の 人間なのだから全然似ていないとリョーマは思う。 似ていない。 似ていないよ。 似ているもんか。 俺は、アンタよりもずっと、ずっと出来た人間だし ずっとずっと寂しいと感じている。 こんな孤独を、彼が思っているはずも無い。 濁った空を仰いで、鼻を鳴らした。 「――――――――――待てよ!」 短い息切れの音と共に、背後から声が掛かる。 通行人が幾らか此方を見たが、直ぐにまた視線を元に戻した。 今更、何だよと言い捨てる。 そんなつもりで居たが、出来なかった。 走る。 逃げる。 掴まる。 息を切らし、頬が赤い、余裕の無い恰好悪い筈の姿に 愛しさすら覚えた。覚えてしまった。 「オマエは・・・・ 自分で思っているより、ずっと寂しがり屋の癖に。 俺が居なきゃ、駄目だろうが」 「・・・・その台詞、そっくりお返しする」 「何だよ、文句あんのかよ」 「別に。何も」 「―――――帰るぞ」 「――――――――――アイス食べたい」 「―――――コンビニ寄るか?」 ハーゲンダッツの抹茶が良い。 言うと、何も言わずすっかり冷えた手を握られたので 握り返した。 堂々巡りだ。終わりも無い。 こんな恰好悪い喧嘩して、謝ることも別れることも 選べないまま結局俺たちは一緒に居る選択をしている。 一人になって考えるのは、気が楽だということに加えて それから一寸寂しい気がするというそんな変化だ。 きっとこれからも俺たちは意味の無い喧嘩をしては、 逃げたり追いかけたりを繰り返して、そしてこんな風に 手を繋いで帰るに決まっている。 二人は強く惹かれあうか、或いは反発しあうか二つに一つだ。 ならば他の人と居る自分など考えられないし、他の人のものに なる彼なんて考えたくも無いから。 「一緒に帰ろう、景吾」 二人は強く惹かれあうか、或いは反発しあうか二つに一つだ。 はあい、突発!!タイトルはそのまんまですね。 ちょっと待ってープレイバック!プレイバック!のアレです。 あの主人公?の気の強さと相手の男性の物言いが激しく跡リョだと 思ってしまいまして・・・。馬鹿にしないでよーとか、 勝手にしやがれーとか。結局戻るんかいってオチも好きです。 |
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