|
キスをするには、少し遠い。 その距離、24センチメートル。
いつも仕掛けてくるのは、彼が先だ。 それは、唐突だったり甘い言葉の後だったり、様々だけど。 然して、厭だとは思わないから。 余程のことが無い限り、素直に甘受するだけ。 矢鱈、無意味な抵抗はしない。 頬に添える掌の大きさが好き。 すっぽり頬を被う掌が好き。 眸がかちり、と合う接吻け寸前の一瞬だけは 如何にも慣れないままだけれど。 そのまま触れる唇を、 滑らかな舌の侵入を、 眸を臥せて赦すのだ。 まるで、映画のワンシーンさながらに器用に角度を変えては また一層深く。 どんなコトをしても、絵になるこの男が憎たらしい。 地面が傾くような心地、 周りの音を巻き込んで沈む。 それでも必死に保とうとする意識はあまりに無力だ。 「おい、」 不意に、耳元で声が掛かる。 寄せられた唇の吐息に、身体が震える。 未だ、接吻の延長みたいな感覚に肌が総毛立つ。 何でもない振りをして、何、と返すのでさえ困難を極めた。 少し、寄せられた眉。 機嫌が悪いのが、丸分かりと言うか。 一体如何したというのか、と首を傾げる。 些細なことで機嫌を損ねるのは疾うに慣れたけれど、 接吻の後は、決まって上機嫌でなかったっけ、アンタ。 「・・・・・・・オマエは、厭なのか」 え、と口にして一体何の話だ、と次いで考えた。 修飾語とか、補語とかもきちんと入れて話してよね。 俺はテレパスぢゃありません。 それとも、態とに言いたくないのか。 如何やら、後者らしくて理解していない俺に少し焦れた 様子でキスが、と言葉を足した。 別に、厭ぢゃないよ。 厭だなんて、思っていないよ。 真実厭だと感じたら、黙って受け容れたりなんかしない。 少しだけ躊躇するなんて珍しいアンタとか、 慣れているのには腹が立つけれど、心地良い接吻は 然して、厭うことなんて何一つないから。 「なら、オマエからも仕掛けてこいよ」 「如何して」 「俺一人で、勝手を通しているみたいだ」 実際、勝手を通すのはアンタの十八番ぢゃん。 口に出さないなんて、今日の俺ってかなり優しい。 嗚呼、馬鹿だね。 馬鹿だね、アンタ。 そんな事気にしているなんて、 この自己中極まりない俺様男が そんな事気にしているなんて。 可笑しくて噴出しそうになった俺の口から洩れたのは、 何故だか笑みだけで。 不覚にも、そんな彼が可愛いだなんて思ったから 面倒臭いなあなんて思いつつも、背伸びをしてやりましょう。 それでも尚、届かないなんてムカツくね。 「是以上の妥協は出来ないから、そっちが来てよ」 グラグラする爪先に、無様な事態を招かないよう細心の 注意を払いながら上を見上げる。 理解したらしい男は、唇の端を器用に上げて笑んで、 「最初から、こうすれば好かったんだよ」 造作も無く、前に屈んだ。 アンタの譲歩 俺の妥協 その距離24センチメートル 雪崩るように、シーツの真新しいベッドへとダイブする。 身体に浮遊感と、落下の衝撃。 忙しく、身体を寄せ合えば同じ目線にある顔。 今は1ミリたりとも存在しない二人の距離。 王子はこの方と付き合う上で妥協しているおつもりですが 跡部様は跡部様でかなり王子に譲歩しているおつもりだと。 二人とも、王様気質だからね・・・。24センチは身長差です。 |
| SEO | [PR] 花 冷え対策 再就職支援 わけあり商品 | 無料レンタルサーバー ブログ SEO | |