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二十億光年の孤独









万有引力とはひき合う孤独の力である

              谷川俊太郎 「二十億光年の孤独」より




君が、僕を欲しいという。

それは戯言や甘言でなくて、君の真摯な告白或いは自白だと

僕は疾うに理解して居る。

僕は、君の柔肌に口づけてその熱情の在り処を探る。

人に言葉を上手く伝える事が出来ない、不器用な君の孤独。

人に言葉を伝える事を厭う、希薄な僕の孤独。

孤独を以って惹かれあう僕達は、

だけど結局の所良く似た他人なのだ。

他人だから、こうして僕は自分の手を介して君に触れる事が

出来るけれど他人だから、こうして僕は幾ら望んだとしても

君と融け合うことは適わないのだと夜夜中に思い知る。

カーテンを可視して、月光が静かに降り注ぎ夜の静寂を奏であげる。

紺色の空に此方に呼ばれて、ぽっかりと浮かび上がる月は

幾ら仮令地球を恋うても、一つになることなど出来はしない。

近いから、近いからこそ、結局の所相容れない他人である

という事実に、少しだけ泣いて君の孤独を想う。

これほど恋うても、今までも、そしてこれからもこんなに

近しい他人である君は僕の許に落ちてなどきやしない。

僕らを阻む一切の空気は、若しかしたら僕が僕であることを

君が君であることを位置付ける正しさなのかもしれない。

僕でない、君だからこそこんなにも愛した。

近しいけれど、他人であるからこそ僕らはきっと惹かれあう。

僕は、君を求めて。

君は、僕を求める。

決して、相容れない、孤独の為に。

この広い星空を旅するのだ。

瞼を閉じて、君の体温を知覚する。

この広い世界で偶然を装って巡り会うのだ。

それは、きっと万有引力みたいに必然的に此処で

僕は君と恋に落ちるのだ。









この一節大好き。ロシュの定理も大好き。不二先輩は文学少年だと良い。








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