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Mail Bomb




「越前ってさ、携帯のメール、素っ気無いよね」


思えば、そんなことがきっかけだった。









「そうっスか?」

「うん、そう思うけれど」

ミーティングの後、練習試合が行われている間自分たちの順番を待って
ウォーミングアップを済ませた二人はベンチで会話を交わす。
そこで不二がそんなことを言い出した。

「先輩が、凝ってるんじゃないの?」

リョーマは不二に貰ったメールを何となく思い浮かべた。
顔文字も使われているし、絵文字も使われているメールはリョーマに
してみれば相当凝ったものだ。
言っちゃ悪いけれど、女子っぽい。
最初メールを貰ったときは、失礼ながら目を疑ったけれどもよくよく彼の
性格を熟知してきた今となっては、まあ似合っていると思っている。

「僕は結構普通じゃない?まあ、それなりに気を使うけれど・・・
 英二なんてもっと凝ってるよね」

菊丸にそう話題を振ると、同じく傍に居た彼がん?と顔を覗かせてきた。

「まぁね〜!!」

リョーマも、菊丸から貰うメールを思い浮かべて確かになと思う。
不二以上に彼のメールは凝っているが、此方もまた性格に合っているとも
思ったから違和感はない。

「確かにおチビのメールって素っ気無いよなぁ。
 『ハイ』『了解』とか一行メール?どころか一言メール多いんだもん」

「・・・・・・別に、メールなんて必要最低限で良いじゃん」

先輩二人に駄目だしされて、ちょっと不満そうにリョーマは視線を落とした。

「甘い!そんなんじゃ女子にモテないぞ!」

「女子?」

「そう!女の子はね、メールとかすんごい気にするんだから。
 可愛いメール送ったら好印象抱いてもらえるってわけ!」

えっへん★と自慢げに胸を張る彼に、そうなの?と不二に問いかける。
不二は、若干困ったように笑った。

「まあ、一概にそうだとは言えないけれどね。メールって、電話と違って
 相手の感情が読みにくいでしょ?だから、絵文字や顔文字が入ってると
 ああ喜んでいるんだな。とか、今悲しいのかな。とか分かるから、
 安心するんじゃない?」

「ふうん」

「僕は別に越前のメールが悪いとは言わないけれどね。
 素っ気無いけれど簡潔で言いたいことはしっかり伝わるし。
 君らしいと思うから、好きだな」

「・・・・・そっか」

何となく、嫌な感じは与えていないと知ってホッとする。

(・・・・・でも、何でホッとするんだろ)

不二先輩に、嫌われたくはないのかな。俺。
首を傾げると、その幼い仕草に知れず不二は苦笑していた。

「気にしたら、ごめんね」

「ううん、別に・・・・俺、言われないと何も分からないタイプだから」

そんなに素っ気無いかな?と思ってリョーマは考えてみたけれど、
確かに今まで必要最低限のこと以外書いた記憶なんてないし、顔文字絵文字
なんて問題外だ。
なるほど。










その晩、不二のもとに一通のメールが届いた。
差出人を見ると、越前リョーマと表示されている。

「・・・・越前からなんて、珍しい」

今日言ったこと、気にしちゃったのかな?と一寸申し訳ない気分になった。
彼のメールは嫌いじゃないのに。
簡潔で、感情の見えない、でも何処か可愛いなんて思うのは
リョーマだからだろうか。
ぱちん、と携帯電話を開けて見ると件名はやっぱりnon title。
しかし次の瞬間、不二は危うく座っていた椅子から落ちそうになった。

本文

俺も、先輩のメール、好き♡







「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ハート。
ハートマーク。
紛うことなく、ハートマーク。
ハートマークは、地雷だ。
女の子同士の間、もしくは恋人同士ならば使うことも多々あろうけれど
はっきり言って男同士で使うことなんて先ずない。
あったとして、どんなトラップだそれ。
女子にメールを送る際にも、こと誤解を受けそうだから用いるのを
避けるし、あちらとてただの友達関係ならば避けてくる。
きっかりと画面に表示されているそれを凝視して、それから深々と項垂れて
彼は溜息を吐いた。
リョーマには、きっと悪意も他意もないとしても。

「・・・・・・・・・・越前のバカ」

反則だ。
早まる鼓動に、言い訳が出来ない。
















リョーマさんのメールは凄く素っ気無さそう。
そして、リョーマさんは天然で誑しの素質がありそう。
不二リョですが、まだお互いに先輩・後輩でしかない二人。
友情以上、恋愛未満って感じかな。久々にこんな関係の二人を書いたような。




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