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手に入らないから、欲しいのだろうか。 届かないから、好きなのだろうか。
約束を交わした時間の五分後。 やって来る気配の無い待ち人。 それでも待っている自分が何だか馬鹿みたいだと思う。 発信履歴から拾える電話番号を睨みつけてもう一度発信。 コール音が3回響いた後に一寸不機嫌そうに電話が通じた。 「何だよ」 「五分、遅刻。あと五分待ってアンタが来なかったら オレは先程食事に誘ってくれたお兄さんたちと ご飯食べてくるからね」 「あ!?誰だ、ソイツは!!」 あ、流石に焦ってる。いい気味。 「知らないヒト」 オイ、と掛かる言葉を無視して電話を切った。 勿論先程の売り言葉は嘘だ。 誘われたのは本当だけど、しっかり断らせて貰ったし。 それでも、焦る彼が見たかったなんて本当に自分が 可笑しいと思う。 やがて、待ち合わせの場所にやって来る。 遠目でも判る、その整った造型。 俺の姿を認めて此方に駆け寄る。 怒っているのが丸判りで、付き合いだしてわかった意外に 単純な性格が、実は少しだけ好き。 待たせて悪かったな位の詫びは欲しいけれども きっとそんなコト世界が引っ繰り返ったって言わないよね。 「バカ、何言ってんだよ!知らない人に付いて行くな!!」 「オレを待たせたアンタが悪い」 「るせえ、ホラ行くぞ」 見え見えの嘘も吐かなければ、言い訳の一つもしない。 かと言って決して謝るわけでもない。 無茶苦茶我が儘で無茶苦茶俺様で無茶苦茶子供じみた、ヒト。 負けず嫌いな自覚のあるオレは絶対今度 アンタを待たせてやろうと決意を固める。 さあ、どんな反応をしてくれる? 他の人と違って 決して自分の意見を曲げないし 決してオレに合わせようともしない。 好きだとか愛してるとか口に出しても 束縛されるのは嫌うアンタだから。 手に入らない。 きっと完全には手に入らない。 この男は一生誰のものにも、ならないのかも知れない。 そして 「だから、好きなのかも」 ポツリと不意に口を吐いた言葉にアンタが振り返り 何か言ったかと言ったので慌てて首を振った。 ヒトと深く付き合うのは好きでない。 自分の領域を侵すような付き合いは好まない。 自己犠牲の上に成り立つような虚構の恋愛なんて認めない。 オレのものにならないアンタだから凄く好きだといったら どんな顔を見せてくれる? 矛盾している主張をそれでも受け止めてくれたりする? いつだってオレの前を歩くアンタは俄かに立ち止まって 町の人並みを気にもとめず振り返り 此方に向かって容易くその手を伸ばす。 そうしてオレは 泣きたくなるのだ。 手に入らないから、欲しい筈なのに。 届かないから、好きな筈なのに。 一瞬でもその総てを手に入れてしまったことに気付いたら どんな顔をすればいいのか判らないのに 雰囲気でいこう!な跡リョ。二人とも自分の領域を しっかり持ってそうなのでそれを越えられるのは厭うと思うのです。 王子は、これでいて跡部様大好きです。勿論跡部様も。 だからこその葛藤。青春だなと思っていただければ幸いに御座います。 タイトルに無いもの強請りをする、という意味があることをつい先日知りました(笑) |
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