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I LOVE TOO MUCH




「何やかんやで、実は結構俺等世話になっとるよな」

「部室の備品とか、ポンとポケットマネーで出してくれるし
 合宿もアイツの伝手で設備の良いホテルなんかに泊まれるし」

「テニスの腕は一流ですよね」

「そこは認める」

「アイツのおかげで、俺等の士気が持っているのもあるよな」

「まあ、カリスマだC」

「ほんなら、そういうことで。
 今年は跡部のバースデーをしっかり祝ってやろうや」











肩を落ちる長めの黒髪はストレート、天使の輪を描いて
軽やかに靡く。
学校が指定するものよりも、短めのスカート丈からは未だ
成長段階にある華奢な足がすらり、と伸びる。
白い肌、赤い唇。
少しだけ不機嫌そうに寄せられた眉も、少しも彼女の美貌を
損なうことはない。
まるで西洋のアンティークドールみたいに豊かな睫毛が
大きなアーモンドアイに余すところ無く影を落とす。
昼前ということもあり、人気が疎らな校内。
それでも彼女を見た人間は必ずと言って良いほど、振り返り、
溜息を吐いてそれから男女関係無くうっとりと呟く。

「あの子、何処のクラスの子?」と。

血相を変えたクラスメイトに呼び止められて、跡部は何だ、と
問い返した。顔を赤く染めたクラスメイトは、
教室の外を指差している。

「すんげ〜可愛い子!!が跡部に会いたいって」

あと、お前のところの部活のレギュラーが集まってる。
付け加えるようにそう言われた。
―――――凄く、可愛い子?
跡部は首を捻った。一向に心当たりが無いといえば、嘘になるが
跡部が今まで関係を持った女は尽く可愛いと言うよりは、
美人と評される部類で、良い別れ方をした人間なんてそのうちの
一握りくらいだから態々自分を訪ねてくる可能性は低い。
そもそも、彼は自分がモテることと、ちょっぴり人でなしの
自覚があるから学園内の女子を相手にすることなんて余り無い。
あったとしても、極少ない遊びなれた風の女だけだ。
しかも、特定の相手に惚れ込んでから一切女遊びなんてしていない
から、余計に誰のことだか分からない。
ファンか何かか?
そう思うと、少しだけ溜息を吐いた。
先に述べた通り、前までならまだしも現在の彼には特定の
想い人が居るからファンだろうが何だろうが好意は丁重に
お断りしなければならないのだ。
今までならば仮令彼女とされる人間が居ても、ちょっぴり
ロクデナシの彼は他の女性と関係を持ったりしたけれど
今回ばかりは今までと勝手が違うのだ。
詰まるところ、ベタ惚れ。想い人を裏切ることなんてしない。

(可愛いって、リョーマより可愛い奴なんか居るかよ)

想い人の顔を浮かべて、今度は勝ち誇ったようにフンと鼻を
鳴らす。
それでも顔くらい見せて断るべきだと仕方なく教室の外に出た。
廊下には、小さな後姿と、その彼女と楽しそうに談話する
チームメイトの姿が見える。

(知り合いなのか?)

じゃあ、3年?そんな可愛い子なんて、居たか?
跡部が踵を踏んだ上履きで、近づいて声を掛けるとすんなりと
彼女は振り返った。
満面の笑みと、何やら大切そうに抱え込んだ白い箱。

「Happy BirthDay!!」

だが、その顔を見た途端跡部は興味深そうに此方を眺めている
クラスメイトやにやにやと性質の悪い笑みを浮かべている
チームメイトの存在、更には此処が学校であることすらも忘れて
叫びそうになった。

「リョ・・・・・・・・・・・・・・!!」

彼の想い人の名を。













跡部が辛うじてリョーマの名前を叫ばずに済んだのは、彼が
頑張って堪えたからではなくリョーマが有無を言わさず鳩尾めがけ
見事なパンチを繰り出したからである。
流石の跡部も動揺の後、不意打ちではこれは堪らない。
見事に入った鳩尾に咳き込むと

「バカ!!目立つじゃんか!!」

と何故か氷帝学園女子冬服を着込んで、長い髪をした
リョーマが顔を赤くしてそう言った。

「・・・・・・・・・・・・・・その、服」

「コレ?だって、学ランじゃ目立つでしょ。此処ブレザーだし。
 本当は俺だって厭だけど、だって目立つの困るし。
 テニス部の皆が貸してくれた」

ついでに、ウィッグも。
言って小首を傾げるリョーマは可愛い。
とてつもなく可愛い。何だかリーサルウエポンな勢いで可愛い。
成る程、クラスメイトが可愛いと騒ぎ立てたのも分かる。
ある意味反則だ。

「てめえら・・・・・・・・・・・」

目の据わった跡部がギロリと睨んだので、てっきり怒られるものだ
と思ったレギュラー陣はぐっと構える。
ところが、跡部は自らの腕を前に出した。
そして親指を立てる。

「グッジョブ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
如何やらお気に召したらしい。

「如何した風の吹き回しだ?お前ら」

「俺がね、どうしても今日景吾に会いたくて学校に行きたいって
 言ったの。だから、皆協力してくれた。
 お誕生日、おめでとう。コレ、ケーキ」

傾城の笑みで告げるリョーマに柄にも無く跡部は感動した。
生まれてこの方様々なプレゼントを貰ってきたけれど、こんなに
嬉しいバースデープレゼントがあっただろうか。
それだけで、この世に生を受けて良かったとすら思える。
リョーマに。
リョーマに巡り会えて。この魂に、巡り会えて。

「・・・・・・・・ありがとう、な」

小さく礼を述べると、それが酷くぎこちないことに気付いた。
お礼なんて、言うことなんて滅多に無いからだ。
それが何だか照れくさくて、思わず顔を背けるとそれを理解してか
リョーマは微笑む。愛しむように。

「俺等も、何かと跡部には世話になってるから」

「プレゼントを用意しました」

岳人と、鳳が一歩前に進み出て小さな箱と、何やら鍵を手渡す。

「保健室の鍵です」

「俺のプレゼントは、越前をその恰好に仕立てたC」

知り合いの卒業生から貰ったんだ〜と自慢げに慈郎が言った。

「俺は越前の学校のフォロー。父親を語って電話しといて
 学校を抜けて来るように手配しといてやったんやで?」

お前のフォローもしといてやる、と忍足が笑んだ。

「咽喉が渇いたら飲めよ」

スポーツドリンク数種を宍戸が渡す。

「部活に遅れるようでしたら、俺が榊先生にフォロー入れます」

珍しく協力的に日吉も言った。

「如何いうことだ?」

各々が指す言葉の意味を捉えかねて跡部が問う。

「そーいうこと」

未だ開けていない箱を指されて、怪訝そうに眉を寄せたまま
ラッピングを破った。
中から出てきたものを見て、傍に居たリョーマが絶句する。
・・・・・・・・・・所謂避妊具だ。
保健室の鍵+避妊具+スポーツドリンク+各種のフォロー
+女装中のリョーマ@ミニスカ=?

「・・・・・・・・・気が利きすぎて、若干こぇーよ
 オマエら・・・・」

「まあ、世話になってるからな。一応」

「昼から保健室の先生出張みたいだC」

「タイミング良いよなぁ」

跡部って悪運強いもんな☆なんて和気藹々と話し始める彼等を
他所にリョーマはブルブルと震え始めた。
何このパターン。
何このパターン・・・!!
ポン、と肩に置かれた手にヒッ、と思わず慄く。

「じゃあ、まあ、ホラ。折角の好意だし、な?」

やたらキラキラした背景を背負って王子様スマイルで跡部が
爽やかな笑みを浮かべた。



暗転。そして合掌。















一寸校正しとる暇が無い(痛)
お誕生日おめでとうございます、跡部様!!貴方に出会えた奇跡!!
保健室で何があるかは深読みしてね☆




















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Owner:momoya 2005 Not Take Free












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