home

ネオメロドラマティック





唇に滲んだ血を咎めたら、リョーマは一つとして表情を変えずに
唯の喧嘩だ、と冷たく溢した。
足跡の残る学生服、解れた釦、痣の残る腕、物騒なことだと不二は
目を細める。

「俺は群れるのも、平等主義も嫌いだからスタンドプレーに
 見えるんスよ。一部の人間には」

それが悪いこととは思わないけれど、と付け加えて無造作に口元を
拭う。屋上のフェンスにもたれたままそれを見た不二はちりちりと
胸が痛むのを感じた。

「そいつのこと、許すの」

「許すも何も、喧嘩両成敗でしょ?」

「僕は、許せないな」

如何して欲しい?と問う彼に少しだけそれとわかる程度にリョーマは
表情を強張らせた。
喧嘩をしたときも、因縁としか思えないことを咎められた際も、
殴り合いになって女子が叫んだときであってさえも表情一つ変えずに
ただ剣呑な眼差しで応じた彼が、それでもぎくりとしたのはひとえに
こういうときの不二が本気だということを知っているからだ。
声のトーンが常よりも幾らか低い。
馬鹿げた話ではあると思う。
そんな批判で根も葉もない暴力でリョーマを変えられると思うのは
エゴだ。何て下らない話だろう。
そんなことで潰れるほど彼は壊れやすい生き物ではないことを不二も
知っている。知っているけれど、目の前にして許せるほど人間が
出来ているわけじゃない。

「自分たちと異なるものは怖いんだよ。凡その人間は」

「それも、知ってる」

「君は鮮烈だからね。脅威になりかねない影響力を持っている」

「下らない」

「下らないね、本当に下らないな」

彼がぞっとする冷ややかさで吐き捨てると、
俺は変わらないよとリョーマは苦笑した。
うん、そうだね変わらないで居てよ。
呟く声が祈りに似ていて、貴いものに縋りつく気持ちでその小さな
身体を捉える。
ブラウスに忍ばせた指先が柔らかく胸元を撫で上げると、
小さく殺した声と反応が返り満足げに笑んだ不二をリョーマは睨んだ。
その、目がいけないんだと思いつつ。
その、目が好きなんだと相反する想いも抱く。

「先輩も、俺が怖い?」

「怖いよ」

「俺も、先輩が怖いよ」

思いがけない言葉に愛撫を止めてその顔を見ると、真摯な眼差しで
ひたと見据える彼と目が合った。
僕の、何がと自然紡がずに居られなかった唇に啄ばむようなキスを
落として俺を変えてしまいそうなところだと少しだけ悲しそうに
少年は言う。
その黒鶫色の髪の毛が風に浚われて、青空に靡いた。
嗚呼。

「何か・・・・興奮する、こういうシチュエーション。
 品行方正な顔してアンタが、こんなところで俺を抱こうとする」

「燃える?」

揶揄するように見上げると、そうだねと挑発的な返事が返る。

「滅茶苦茶にして、先輩しか見えなくなったら良いのに」

屋上の鍵は簡単な細工を施した針金で掛けている。
雪崩れ込むようなキスも、暴いていく裸体も、青空に酷く
似つかわしくなかった。

「仰せのままに」

さあ、如何しようか。
望むことを全て受け入れてあげる。
君の悲鳴も、君の叫びも、君の真摯な告白も全て呑み込んで
受け入れてあげる。
そっと傷ついた唇を舌先でなぞったら、未だ生温い鉄の味がして
やっぱり許せないかも知れないと彼は思った。
君を傷つける世界ならば、要らない。
さあ、如何しようか。
全て投げ出して二人で落ちていくのも悪くないかもしれない。
恋でも、劣情でも、快楽でも、堕ちていくのも悪くないかも。
こんな風に腕の下で乱れる身体を、常に見せない顔を、暴いて
此処に存在するのは僕たちだけで。
さあ、如何しようか。
伸ばした腕の行く先は、掴めない天蓋で
遠く響く健全すぎるくらい健全な光景に
どちらともなく声をあげて笑った。














リョーマさんは一部の人間には好かれないだろうなーと思います。
可愛いけれど、ほら。可愛いからこそ目立つし。
よくも悪くもこの子すんごいアメリカ育ちって感じがする。
タイトルから書き始めたお話なので、BGMにはこの曲をお願いしますw
こんなことを言いつつ、それなりに傷ついているんだよリョーマさんは。
中学生は多感な時期なので、青春して欲しいな。
誘い受けな彼はあんまり書かないので、妙に新鮮だったこの話。



















home







Copyright (c) 2005 17'c. All rights reserved.












SEO [PR]  冷え対策 再就職支援 わけあり商品 無料レンタルサーバー ブログ SEO