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いつか土に還るまでの一日




誰にも渡したりはしない。









桜の木の下には死体が埋まっている。
少しは怖がる顔が見たくて、ありふれた類の話を退屈凌ぎに語った。

「あの、妙な綺麗さはその死体の血肉を喰らって桜が咲いているから
 なんだってよ」

だけど、お前はと言えば平生通りの無関心とも取れる態度で
聞いていたのかいないのかさえ迷うほどの声で以って、ふうんと
言っただけだった。何だ、ソレ。つまんねえの。

「ケーゴ」

だけど、俺がまるですっかりそのことを忘れて
雑誌だとかに目を通し始めると、行き成りに寝台の上から
その華奢な身体を小猫みたいに精一杯伸ばして
俺を捕らえ、お前は俺の名前を呼んだ。
御世辞にも良いと言えない発音にももう疾うに慣れた俺は、
きっとコイツ以外の誰がしても怒るであろう仕草にすら頓着せず
読むのを邪魔された雑誌をその辺りに投げ捨てる。
こうでもしないと、途端に不機嫌になるからだ。
それに満足したようで、大きな眸を目前にまで近づけると
本当に唐突に傾城の笑みで口を開く。

「俺が死んだら、桜の木の下に埋めて」

それが先程俺のした話の続きだと理解するまで数秒要した。
あれほど、無関心に聞いていたくせに何だそれ。
文句を言うと、だって、と唇を尖らせる。

「だって、桜、綺麗だし。どうせ、土に還るなら俺は綺麗な
 花の為になりたい」

未だ生きているお前が言うものだから。
それを、殺したって死にそうも無い顔で
お前が笑って言うものだから。
居た堪れず間髪居れず抱き締めて、目を丸くしたお前を
腕に抱くと寝台に傾れ込んだ。
ぎしりと軋むベッドは情事を思わせて、どきりと胸が鳴る。
多分こんなことを思うのなんて、感じるのなんて誓って過去も
未来も現在も金輪際お前だけだ。お前限りだ。
痛いんだよ、馬鹿!と抗議を受けるが構わない、構うもんか。
一頻り暴れた後、ぱたりと形ばかりの抵抗は止んで代わりに
両の手が首に回された。

「お前を土に何か還してやるもんか。誰がそう易々と許すかよ。
 桜にだって、土にだって、神にだって渡すもんか。
 お前だけは、誰にもやらねえ」

桜が血を欲しがるのならば、お前以外の誰だって犠牲にして。
土がお前を欲しがるのならば、いっそ土壌ごと汚してしまって。
神がその魂を奪うと言うのならば、魂ごと喰らってしまえ。

やらない。
譲らない。
許せない。
この、容れ物。
この、魂全て俺の物だ。

「アンタは、もう、仕方無いね。
 ・・・・・ケーゴ、俺が居ないと」

何の躊躇いもなく肯定すると、満足そうに抱き締められる。
無茶苦茶な言葉の羅列に仕方無いなど言いつつも、
頬を朱に染めて少し嬉しそうな顔をするお前が見えたから。

一生この腕の中から出してやるものかと思った。









WAO!超ラヴラヴですよ、甘いですよ<そうか?
跡リョで桜ネタ。最近私の中で跡部様の初期設定が
「俺様・強引・性格悪し・悪党(酷!)」だったことを思い出したのですが
今はもう最初の俺様以外見る影もな・・・(禁句)
王子大好き好き好き★な人間になっちゃって、困りました。いいけどね。
いつかそんな彼も書けたらなー。裏だろうけどさ。







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