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Vein and White night



「血管と白夜」





頭上に残された青白い月が頼りなく光を注いで
金属性の乾いた音を響かせた。
途切れなく伝わる僅かな振動に繋ぎとめたハンドカフスが
その都度嘘くさい硬質さと狂気を見せ付ける。
ぞっとする冷ややかさすらも、今や肌に馴染んで真実繋ぎとめて
居たいのは身体なのか、それとも正気なのか判別に固い。
正気なんて、疾うに行為を始めた瞬間に或いは彼に出会った
瞬間に奪われて残っていないと思う一方でいつでも冷や水を
浴びせられたかのように見つめる自分は何処までも真摯に、
何処までも正気なのかも知れないと思った。



劣情を煽るためと別に跡部が好んで接吻ける癖を、一度
疑ったことがある。過去の女の好みなのか、と腹立たしいような
揶揄するような複雑な心境で訊ねたら暫く考え込んだ後
乱れた髪の毛を撫で付けながら正気を辿っているような気が
する、と彼にしては珍しい曖昧で抽象的な言葉を返されたことを
リョーマは思い出した。

なに、それ。へんなの。

なんて呟いたけれど、分かる気がした。
手首を辿るキスは特に恭しく、這わせる舌先は傷口を舐め取る
みたいに。



些細な刺激に反応する痴態に呼応して揺れるハンドカフスに、
頭上に在る月が反射して銀色の表面を黄金に染め替えた。
指先まで、足先までその髪の一本一本、爪の味まで。
毛細血管まで、流れる血潮まで、内部に息衝く生命まで。
奪い取れたら、奪われてしまえば、どれほどの幸福か
分からないとこうして肌を重ねる夜は思う。
思うと同時に、明ける朝には何時も自分でないお前が
それでもこの腕の中に居る幸福を思うのだと相反する感情を
跡部は鈍く笑って衝動に誤魔化した。
身体に負担を掛けることも分かっている、未だ幼いその身体には
仮令愛を盾にしたところで無理を強いているのは分かっている。



リョーマは許す。

その、行為も。
自分に向けられる欲望も、愛情も、狂気さえも。
赦してくれる。
まるで、贖罪を請う教徒の気分だ。
原罪すらも、赦されるような。
浄化されてしまいそうな、そんな気の触れそうな感覚を抱いて
カフスに繋ぎとめた彼を、抱く。
汚れたこの手でも、汚れない身体。
染み一つ無い、陶器のような穢れない身体。
幾ら掻き抱いても、堕ちない意識。

綺麗な。



手を押さえる金属に、擦れた傷口に触れたら小さな悲鳴の後
濡れた眼差しが脳髄まで射抜く。
初めての時のように、合わせた唇が震えていてカチリと
噛合わない歯がぶつかった。
少し滲んだ、赤い味。
どくん、と音を立てて脈が盛んになる。
辿っていくのは、血管で正気で深く埋もれたそれを探り当てる
その度毎に贖罪の儀式のように口付け、穿つ。

「憎いと思うか?」

「まさか、恋しいよ。
 ・・・・・・・・繋がれて居たいと思うのはさ、寧ろ俺だもん。
 逃がさないで、居てね」

じゃなければ、浚われてしまいそうだと眉を寄せたリョーマの
悲しさの所在が何処にあるのかは問わなかった。
温もりを求める指先は、少し冷えた身体で浜辺に打ち上げられた
人魚の躯のようでいて切ない。
未だ、薄い胸。梯子を彷彿とさせる骨組みや、その肢体を巡る
ように、辿るように。
寝台に括りつけたカフスの片側を首に掛けた鍵でカチリと解放
すると、今度は自らの片腕に合わせて繋ぐ。

「逃がさねーよ」

その言葉にリョーマは傾城の笑みを浮かべて、繋がれた跡部の
手首に接吻けを、落とした。














少し真昼の秘密と対っぽい感じが・・・。
曲目はみっちーです。みっちー。友達にみっちー好きな子が居て
数年前にアルバム借りた時にとても衝撃的だった曲です。
歌詞を調べたかったのですが、どうにも見つからなかったので無念。
私が記憶している部分は「貴方の地下水脈を辿る夢 浄化されていく僕」
(笑)いやーいいなあ。あと、因みにですね。英語に訳したときに白夜
って、white nightとthe night of the midnight sunがあるんですが
White night は眠れぬ夜っていう意味があるらしいので敢えて此方で。
何プレイやってんだろ、この人たち(笑)みたいな。



















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